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Gamers 动画放送纪念推特连载小说公开

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葵せきな先生書き下ろしTwitter連載小説
第1回 【亜玖璃とファミレス会議】
ゲスト挿絵イラスト「凡」さん
景太と亜玖璃のファミレス会議のワンシーン! 無個性な景太に亜玖璃が提案する新しい趣味とは…!?


IP属地:江苏来自Android客户端1楼2017-06-13 22:18回复
    「そもそも、趣味がゲームって時点でアウトだよね、あまのっちって」
    今日も今日とて、ファミレスにてアグリさんが脈絡なく絡んできた。
    僕はそれに真顔で切り返す。
    「え、いきなりそんな僕の物語全否定みたいな切り口から入ります?」
    アグリさんがポテトで僕の顔を指しながら続けてくる。
    「ただでさえ『なよなよ系草食男子でございます』みたいなビジュアルしてんのに、そこに加えて『ゲームが趣味』って……もう、アレじゃん」
    「なんですか」
    「没個性主人公」
    「や、そんな、主人公だなんて、照れますよ」 「今のニュアンスを褒め言葉として受け取れるんだ、あまのっちって!」
    「ま、僕のことはどうでもいいとして、ゲーム趣味批判は聞き捨てなりませんね」
    「怒るポイントおかしくない?」
    「そりゃ僕はアグリさんの言うように、キモオタクソ野郎ですよ」
    「言ってないけど」
    「主人公の大活躍に対して『すごいなぁ』の一言も言えれば御の字のモブキャラ男子ですよ!」
    「そろそろ『趣味』方面に話を戻していいかな、あまのっち」
    アグリさんの白けた態度にハッとした僕は咳払いの後仕切り直す。
    「じゃあ、アグリさん的には、僕の趣味がなんだったら良かったんですか」
    「そうそう、それなんだけどね」
    アグリさんはしなびたポテトを自らの口に放り込むと、笑顔で告げてきた。
    「農業だよね」
    「確かに意外な趣味だ! キャラも一気に立った感あるけども!」
    「そんなあまのっちを主人公としたTVアニメ『ファーマーズ!』は、毎週朝五時から地方のケーブルテレビにて放映予定!」
    「なんか放映環境まで健康的だ!」
    「というわけで、あまのっち、今からでも趣味を農業にする気はない?」
    「ないですね」
    「ありゃ即答。そんなに肉体労働いやだった?」
    「そうじゃなくて。僕はやっぱり……どうしようもなく、ゲームが、好きなんで」
    僕の回答に、アグリさんは……なぜか柔らかく微笑み、そして、ぐでーっとテーブルに伏した。
    「あーあ、どうしてその『男らしさ』が、少しだけでも女性相手に出ないかねぇ、あまのっち」
    「うぐ……」
    アグリさんの指摘に詰まる僕。
    「……やっぱり、趣味じゃなくて、問題なのはあまのっちの人格そのものか……」
    「や、だから、僕の全否定から入るのやめませんか、アグリさん?」
    というわけで。
    今日も今日とて、僕らの不毛なファミレス会議は続いていくのだった。


    IP属地:江苏来自Android客户端2楼2017-06-13 22:19
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      接上
      突然の開始に動揺しつつも、僕はどうにか切り返す。
      「あ……あじさい」
      「ゲーム用語縛りで」
      「まさかのルール追加! じゃあ……アイテム?」
      「無限1UP」
      「ぷ? えっと……『ふ』でもいいですか?」 「駄目です」
      「厳しい!」
      僕は相変わらずな天道さんに苦笑する。
      と、彼女がハッとした様子で慌て出した。 「あ、あの、ごめんなさい雨野君、私ったらまた……」
      「いえ、いいんですよ。僕、天道さんのそういうところが好きなんで」
      「え?」
      「え?」
      …………。
      ……二人、思わず俯き、サンドイッチを、小刻みに、黙々と、食べ始める。
      …………。
      結局この日のしりとりは、決着つかずじまいのまま、その幕を閉じたのだった。


      IP属地:江苏来自Android客户端10楼2017-06-14 12:17
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        放送開始まであと28日! 葵せきな先生書き下ろしTwitter連載小説 第3回【星ノ守千秋とゲーム開発】 ゲスト挿絵イラスト「しろがね」さん 出だしから天才的ひらめきを見せつける千秋。人類には早すぎるゲームが完成してしまうのか……!?
        とある秋の日の夜。新作ゲーム制作に着手した自分……《のべ》こと星ノ守千秋は、企画の初期も初期、主人公設定の段階にして、既に迷いの最中にいました。
        目の前にある最終選択肢は、二つ。
        「《食虫植物》か、それとも《長芋》か……」
        どちらも実に平凡で王道な主人公像なだけに、甲乙つけがたいです。
        「まず《食虫植物》が主人公の場合は、捕食対象たる虫と恋に落ちる《食虫植物》のジレンマが描きたいですね」
        うっとりと自らの素晴らしい構想に酔いしれる自分。
        その創作意欲はとどまるところを知りません。
        「一方で、《長芋》主人公がライバルに、『お前には長芋として一番大事なものが欠けている。それは……粘りだ』と言われるシーンも描きたいです!」
        これは燃えます。燃えざるを得ません。
        「どうしましょう、全然決められません。ではでは、もう少し深いアプローチをば!」
        自分はテキストファイルに「ゲーム目標設定」の項目を作り、構想を始めます。
        「《食虫植物》は虫を食べてパワーアップ……させるのは安直ですね」
        自分は一度背もたれに体重を預け、少し考えた後、テキストファイルに打ち込みます。 「《食虫植物》は、虫を食べて成長するものの、同時に《カルマ値》も上昇し、それが一定数値を超えると、想い人ならぬ想い虫まで補食してしまいます」
        神ゲーの予感に打ち震えます。では次に、《長芋》の企画をば。
        「《長芋》主人公の夢。最終目的。それは……なんと《バナナ》になることなのです」
        これは切ない。夢と才能問題について、実に踏み込んだ残酷設定。神ゲーです。
        《食虫植物》と《長芋》。この実に魅力的すぎる王道主人公設定の二人(二つ?)の狭間で揺れ、ついには決め切れなかった自分は、思い切って、妹の星ノ守心春に相談してみることにしました。
        果たして、その答えは……。
        「人間で」
        「え? あ、でも、あのあの、どちらも実に魅力的な――」
        「人間一択で」
        「あの――」
        「悪いこと言わないから、人間になさい。ね?」
        「……はい……」
        こうして本日、世界からまた一つ、神作誕生の芽が摘まれたのでした。


        IP属地:江苏来自Android客户端16楼2017-06-15 13:26
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          放送開始まであと24日! 葵せきな先生書き下ろしTwitter連載小説 第5回【雨野景太とフリーゲーム】 ゲスト挿絵イラスト「BANG-YOU」さん 《のべ》の新作フリーゲームが公開され、早速プレイする景太。しかし、今回も怪作の予感!
          僕の敬愛するアマチュアゲームクリエイター《のべ》さんの新作フリーゲームが公開された。
          早速ダウンロードした僕は、就寝前にさくっと終わらせるべくゲームに取りかかる。 まず表示されたのはタイトルロゴ。
          〈食虫戦艦・ナガイモ〉
          「既に怪作の空気が尋常じゃない……!」
          相変わらずの《のべ》さんクオリティに……武者震いを禁じ得ない僕。作者が変態なら、その信者もまた変態なのである。 ボタンを押してゲームを開始すると、プロローグテキストが表示された。
          〈光合西暦・6491年。謎の虫型異星人《モスキー》の襲来により壊滅的被害を受けた地球は、起死回生の一手として、遙か銀河の彼方の星《アスカンダル》から《ヤブカクリーナー》を持ち帰る作戦に打って出た〉
          「要は蚊取り線香のおつかいじゃないか!」 身も蓋もないツッコミを入れつつも、わくわくと読み進める僕。
          〈そしてその大任に選ばれた戦艦こそ、我らが――《野菜戦艦・トマト》である!〉 「ナガイモは!?」
          早速タイトルガン無視の展開にあんぐりと口をあける僕。更にテキストは続く。
          〈《野菜戦艦・トマト》は人類の希望を背負い、一路《アスカンダル》へ旅立つ》〉 「お、そろそろ始まるか?」
          ゲーム開始の予感を受け、コントローラーを構える僕。が……。
          〈それはさておき――〉
          「それはさておき!?」
          〈昭和52年。ガキ大将のしげるは――〉
          「ガキ大将のしげる!?」
           ――僕の長い夜は、まだ、始まったばかりだった。


          IP属地:江苏来自Android客户端22楼2017-06-19 12:17
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            放送開始まであと22日!
            葵せきな先生書き下ろしTwitter連載小説 第7回【上原祐と高校デビュー2】
            ゲスト挿絵イラスト「うに蔵」さん
            祐の高校デビューエピソードの第二弾!
            今ではすっかりイケメンと評判の祐はこうして生まれた!?
            ある日の帰り道。カノジョたる亜玖璃が俺の隣を歩きながら「あとさ」と切り出してきた。
            「祐は『高校デビュー』にあたって、ビジュアル面では何を心がけたの?」
            「ああ、それか。そうだな……」
            俺は一年半前を回想しつつ、彼女に応じる。
            「まず、髪をツンツン逆立てた。スク○ニ系作品も真っ青なほど、逆立てた」
            「喩えは分からないけど、ヤバいのは伝わってきたよ」
            「ああ。周囲の視線を察して、一週間でやめたよ」
            「賢明だねと言いたいけど、なぜやる前に気づけなかったのさ」
            「次に服を破いた」
            「破いた」
            「それはもうズタボロに」
            「ズタボロに」
            「更に体へ傷をペインティングした」
            「傷をペインティング」
            「ダメージ上原祐の完成だ」
            「ダメージ上原祐」 オウムの如く言葉を繰り返す我が彼女。
            俺は満を持して、変身の結果を語る。
            「そうして俺は……夜の街で警官に保護された」
            「保護された!?」
            「最初は滅茶苦茶優しかったポリスメンの目が、事情を聞くにつけ、どんどん冷たくなっていくあの恐怖といったら……」
            「なにこの話」
            「そして俺はリア充ファッションの神髄を悟ったんだ」
            「急に現れたな神髄」
            「『普通の格好こそ至高』、とな」
            「亜玖璃のここ数分を返せ!」
            「こうして俺はリア充になった」
            「こんなに無価値な講義聞いたの、亜玖璃初めてだよ!」
            俺の話を聞き終えた亜玖璃が、あんぐりと口を開けていた。……ふ、どうやら俺の華麗なる「リア充ファッションレクチャー」に言葉もないようだ。
            俺は前髪を掻き上げて、我がカノジョに告げる。
            「いいんだぜ、亜玖璃。早速この《ファッションの神髄》を雨野に教えてやっても――」
            「や、結構です。マジで」
            そう断った亜玖璃の瞳は、俺がかつて見たこともない程に虚ろだった。


            IP属地:江苏来自Android客户端30楼2017-06-21 12:16
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              放送開始まであと21日!
              葵せきな先生書き下ろしTwitter連載小説
              第8回【星ノ守心春とエロゲ語り】 ゲスト挿絵イラスト「暮浦鶏太」さん
              エロゲに一家言ある心春が、景太と繰り広げるエロゲトークの一幕をお届けします!
              「陵辱系をどう思いますか、センパイ」
              ある日の放課後。コンビニのイートインコーナーにて、僕は他校の後輩女子からドギツイ質問を受けていた。
              「どう思うって……」
              「あたし的にはアリです」
              「僕的にはこの会話がナシです」
              頭を抱える僕。しかしコノハさんは止まらない。
              「陵辱系の良シナリオゲーって実は結構あるんですよ、センパイ」
              「それは分かったけど、コンビニでこの話続けます?」
              「続けます。生徒会長の誇りにかけて」
              「かけるとこ絶対間違えてるよ」
              「ただ陵辱って言っても、ただグロイだけの陵辱は駄目ですね。陵辱は陵辱でもいい陵辱と悪い陵辱ってのはありまして、公序良俗に反する陵辱が――」
              「僕、『陵辱』という言葉でゲシュタルト崩壊起こす日が来るとは思わなかったよ」
              「失礼しました。確かに下品な言葉ですよね、陵辱」
              「うん、だからもうこの話題は……」
              「今後は陵辱モノのことを『おはずかし』と呼びましょう」
              「そんな『お花摘み』みたいに誤魔化しても駄目だよ!」
              「あたし、幼少のみぎりより少々『おはずかし』を嗜んでおりまして……ぽっ」
              「ぽっ、じゃないよ! そして幼少のみぎりより嗜んじゃ駄目だよ!」
              「さて、脱線はさておき、エロ話に戻りましょう」
              「本線からしてロクでもない!」
              僕がツッコミ続けていると、コノハさんがやれやれと肩を竦めた。
              「分かりました、分かりましたよ、センパイ。もうやめます」
              「良かった……」
              「センパイの心を『おはずかし』する遊びは、もうやめます」
              「なにその酷い遊び!」
              なんにせよ、これでようやく下ネタから解放されるようだ。
              僕がほっと胸をなで下ろしていると、コノハさんが口を開いた。
              「ではセンパイ、『痴漢モノ』をどう思いますか?」
              ……どうやら僕の「おはずかし」はまだ終わらないらしい。


              IP属地:江苏来自Android客户端33楼2017-06-22 13:03
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                放送開始まであと20日!
                葵せきな先生書き下ろしTwitter連載小説 第9回【天道花憐と幻の事故】
                ゲスト挿絵イラスト「ぼし」さん
                恋は意外性。 そう語るニーナ先輩の助言を胸に、花憐が取った衝撃の行動とは!?
                私、天道花憐はゲーム部の部長である。
                部長と言うからには、ゲームの実力的にも部の頂点でありたいところなのだけれど……現実はそう上手くいかない。
                いつものようにニーナ先輩に格ゲーでコテンパンにされ、私はそっとため息を吐いた。
                「なぜ勝てないのでしょう、私」
                私の弱音に、ニーナ先輩が奥歯でガムを噛みつつ応じてくる。
                「一言で言えば、考えすぎなんだよ、天道は。ゲームも……あと、恋も」
                「なぜ恋を付け加えたのですか」
                先輩は画面に目をやったまま続ける。
                「天道って、しっかり戦略やプランを持って行動するじゃん? それって確かに強いけど、同時に、読みやすくもあるんだよね」 「ではどうしろと」
                「リズムを崩す意外な行動を取る」
                「たとえば?」
                「……奇声をあげるとか」
                「意外すぎませんか!?」
                私のツッコミに、ニーナ先輩はしらっと応じてくる。
                「それぐらいの気概で臨めということ。恋も」
                「いちいち『恋』を付け足してくるのやめてくれません?」
                「深みが出るかと……」
                「出ませんから」
                そうはツッコみつつも、しかし、先輩の論理は一理あるかもしれないと考える私。
                恋は意外性。それはその通りな気がする。
                「……よし」
                私は決意を固めると、ゲーム部後の、雨野君との下校へと思いを馳せたのだった。
                そうして下校時刻。校舎玄関で雨野君と合流した私は、一念発起、腰をくねくねさせつつ、きゃぴっと彼に挨拶してみたのだった。
                「や、やーん、ダーリン、お・ま・た・せ☆ きゅるん!」
                「…………」
                「…………」
                「…………」
                「……さ、帰りましょうか、雨野君」
                「そうですね。なんか僕、頭がくらくらします、今日」
                「奇遇ですね雨野君。私もです」
                ……事故なんてなかった。なかったと言ったら、なかったのです。


                IP属地:江苏来自Android客户端37楼2017-06-23 12:15
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                  这话梗玩得


                  IP属地:江苏来自Android客户端41楼2017-06-26 17:12
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                    放送開始まであと14日
                    葵せきな先生書き下ろしTwitter連載小説
                    第13回【三角瑛一と主人公デイズ】
                    ゲスト挿絵イラスト「urute」さん
                    「主人公」という肩書がピッタリの非凡な境遇のもとに生まれた三角君。彼のとある週末に迫ります。
                    「三角君って、休日はなにしてるの?」
                    ある日の休み時間。廊下でばったり出くわした友人の雨野君にそう訊かれ、ボクは「え、そうだなぁ」と呟いて窓の外を眺めた。
                    前回の土日を回想する。まず思い出されたのは――義妹の誘拐だった。
                    土曜日の朝は、窓ガラスがけたたましく割れる音で目が覚めた。
                    ベッドから跳ね起きたボクが、音のした義妹の部屋に向かうと、そこには……気を失った義妹を小脇に抱えた、道化師の仮面を被った男の姿が。
                    「遊びの時間だ、三角瑛一」
                    不敵に笑いながら飛び去っていく道化師。
                    ボクは一度無力感に打ちひしがれるも、戦友の女性に頬を張られ、復活。仲間をかき集め、新装備を調達し、短時間の修行パートの末に敵の居城へ辿り着いたのが、土曜深夜のことだった。
                    それからは激闘に次ぐ激闘だった。敵の四天王を食い止めるべく仲間は一人、また一人と脱落していき、遂には一人になってしまうボク。
                    そうして辿り着いた最奥の広間でボクを待っていたのは、花嫁ドレス姿の義妹と、道化の仮面を被った男だった。
                    「さあ、俺と遊ぼう……瑛一」
                    その言葉と共に始まった道化師との最終戦闘は、熾烈を極めた。逆転に次ぐ逆転。後出しジャンケンに次ぐ後出しジャンケン。最初からその技を出せよというツッコミは野暮だと言わんばかりの、インフレに次ぐインフレ。
                    「ぐはぁ……!」
                    そうして最後にボクが渾身の一撃を決めたその時。
                    道化の面が割れ、その下からは素顔が。
                    「とう……さん?」
                    「ふ……大きくなったな、瑛一」
                    倒れる父さんに駆け寄るボク。彼の口からは、とめどなく血が流れていた。
                    「お前のせいじゃないさ。病で先は短くてな……」
                    「どうして……どうしてだよ、父さん!」
                    「ふ。単純さ。瑛一……昔のお前との約束を、果たすためだ」
                    「ぼ、ボクとの約束?」
                    そうして父さんは事切れる間際に、笑顔で告げた。
                    「いつか、本気で、遊んでねって……。……ぐふ」
                    「と……とうさぁぁぁぁぁぁぁああああああん!」
                    それは、居城突入から約一日。日曜の夜の出来事だった。
                    「三角君って、休日はなにしてるの?」
                    回想から戻ってきたボクは、雨野君の質問に、こう答える。
                    「……土日は家族と遊んでたよ」
                    「あ、僕も弟とゲームしてたよ。一緒だね」
                    「だね」
                    このように――僕と彼は、実に気の合う友達です。


                    IP属地:江苏51楼2017-06-29 14:07
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                      放送開始まであと10日!
                      葵せきな先生書き下ろしTwitter連載小説 第15回【星ノ守心春とエロゲ語り2】
                      ゲスト挿絵イラスト「あかいかげろう」さん
                      今日も景太と心春のエロゲトークに花が咲く……??
                      「エロゲのどんでん返しをどう思いますか、センパイ」
                      ある日の放課後。コンビニのイートインコーナーにて、僕は他校の後輩女子から質問を受けていた。
                      「面白いと思うけど」
                      「あたしも基本はそうですけど、ちょっと最近考え直しましてね」
                      コノハさんは人差し指をピンと立てて、語る。
                      「エロスを追求する上では、どんでん返しは危険じゃないでしょうか」
                      「それ以前にまずコンビニでのこの会話の危険性を考えてほしい」
                      僕のツッコミにも構わず、コノハさんは先を続ける。
                      「話の前提ひっくり返すものって、物語として面白いですけど、恋愛部分で嫌悪感出るケースがあると思うんですよ」
                      「ああ、主人公が実は別人だった、とか?」 「はい。主人公が実はカニだった、とか」 「どんでん返しにも程がある!」
                      「あと、衝撃的な世界観が後半で明かされるのも危険ですよね」
                      「ああ、実は全て夢オチでした、みたいなのとか?」
                      「はい。実は全員既にカニミソを抜かれてました、みたいなのとか」
                      「コノハさんの言ってるエロゲってなんなの!?」
                      「時系列入れ替えなんかも、上手くないと混乱させられるだけだったり」
                      「ああ、実はこれ、前作の未来と見せかけて過去の話でした、みたいなのとか?」
                      「はい。実はこれ、獲れたてと見せかけて冷凍モノでした、みたいな」
                      「カニの話!」
                      僕はテーブルを叩いてツッコむ。
                      「なんでカニの話なんですか! エロゲの話して下さいよ!」
                      と、コノハさんがニヤリと微笑んで返してくる。
                      「了解しました。エロゲの話しましょう」 「あ」
                      どうやら僕は、罠にかけられたようだった。


                      IP属地:江苏来自Android客户端58楼2017-07-03 12:43
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                        葵せきな先生書き下ろしTwitter連載小説 第16回 【ゲーム部と日常風景】 をご覧いただきありがとうございました。
                        アニメ「ゲーマーズ!」TV放送開始まであと9日!
                        明日の更新もどうぞお楽しみに♪
                        ゲスト挿絵イラスト「かがちさく」さん
                        ボクが言うのもなんだけど、ゲーム部の面々は変わっている。
                        まずは、FPSゲーマーの加瀬岳人先輩。
                        腕がいいのは勿論だけれど、何より……。 「ああ、実際痛いんだよな、あのナイフ……」 ぽつりと何気なく漏らす独り言が不穏だ。
                        次に、格闘ゲーマーの大磯新那先輩。
                        これまたゲームの腕もさることながら、何より……。
                        「よし『目隠しでオンライン対戦百連勝』達成。次いこ」
                        縛り方が異常。もはや荒行の域である。それを、毎日鼻歌交じりでこなしている。
                        更に幽霊部員の下級生二名。彼女達の何が凄いって……幽霊部員のクセに、来た際には確実に「イベント」を発生させることだ。
                        前回の来訪時なんか、ゲーム部総出で「怪盗」を追うハメになった。……なぜかは説明したくない。字数制限的に。
                        そして極めつけが、部長の天道花憐さんだ。 彼女は一見、この部の中で一番良識ある人間に見える。見えるのだが……。
                        「ひゃぁああっ!」
                        ……ある時期を境に、脈絡なく奇声を発するようになった。
                        原因はハッキリしている。
                        男だ。
                        「くぅ……雨野君に対するあの発言はやっぱり失敗だったかしら!? あぁ……」
                        彼女自身は気づいていないようだけど、ゲーム中、彼女の心の声はダダ漏れである。 結果……ゲーム部がフルメンバー揃った際の部活風景は、こうなる。
                        「そこはもう少し脳漿が出るだろう……」 「よし『特製二秒遅延コントローラーでストーリーモードクリア』達成。次いこ」
                        《下級生入室と同時に、部室を謎のロボットが急襲!》
                        「ああ、どうして雨野君は亜玖璃さんと……! あぁ……!」
                        混沌とした風景の中、ふとスマホに視線を落とすと、雨野君からメッセージが届いていた。
                        〈今日のゲーム部はどうですか?〉
                        そんな彼の質問に。ボクはロボットを眺めながらも、迷うことなく返す。
                        〈いつも通りだよ〉


                        IP属地:江苏来自Android客户端64楼2017-07-04 12:14
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                          放送開始まであと7日!
                          葵せきな先生書き下ろしTwitter連載小説第18回【花憐と亜玖璃2】
                          ゲスト挿絵イラスト「明地雫」さん
                          意外にも接点が少なかった二人が繰り広げる会話の続きをお楽しみください!
                          期せずして放課後の教室に二人きりになってしまった私と亜玖璃さん。
                          微妙な関係の……それも趣味がまるで合わない知り合い二人きりという、一種の地獄と、私達は未だに戦い続けていた。
                          この空気を打開すべく、私は今一度、会話を試みる。
                          「亜玖璃さんって、何か趣味はあるんでしたっけ?」
                          「趣味? うーん……『あまのっちいじり』かな」
                          「なんですかその趣味」
                          「あと、『あまのっち壊し』と『あまのっち崩し』もかな」
                          「うちの彼氏さんは何されているんですか!」
                          「あ、勘違いしないでね天道さん。亜玖璃はあまのっちのこと、無料の暇つぶしアプリぐらいにしか思ってないからさ」
                          「ある意味余計救いがないのですが! もう少し雨野君に優しく……」
                          「じゃあ今度ほっぺにチューでもしとくね」
                          亜玖璃さんの発言を受け、私は笑顔のまま無言で空のアルミ缶を握り潰す。
                          亜玖璃さんは額に汗を滲ませながら続けてきた。
                          「じょ、冗談だよ、冗談」
                          「ですよね」
                          ニパっと笑んで缶を離す私。側面には指の痕がくっきりと残っていた。
                          と、今度は亜玖璃さんが訊ねてきた。
                          「天道さんってさ、ゲーム以外に趣味ないわけ?」
                          「……現在思い当たるのは、一つですね」
                          「なに?」
                          「『雨野君いじり』です」
                          「どっかで聞いた回答だ!」
                          「勘違いしないで下さい亜玖璃さん。私の言う『雨野君いじり』は、貴女みたいに業の深い所業じゃありません」
                          「そうなの?」
                          「ええ。私の言うそれは……実物じゃなく、空想の雨野君を私の中でいじり倒すことです!」
                          「業が深いよ!」
                          椅子から立ち上がってツッコむ亜玖璃さん。
                          そうして睨み合うカタチになってしまっているところに、突然、雨野君だけが戻ってきた。彼は私達の妙な空気に興味を抱いた様子で訊ねてくる。
                          「二人で何話してたんですか?」
                          そんな彼の質問に。
                          私達は頬を赤らめ、目を見合わせてから、返す。
                          『あまのっち(雨野君)には関係ないっ! あっち行ってて!』
                          「ええ!?」
                          こうして、二人きりの同好会は――彼の一人負けというカタチで、その幕を閉じたのだった。


                          IP属地:江苏72楼2017-07-06 13:10
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                            连续被吞什么鬼..



                            IP属地:江苏87楼2017-07-11 12:41
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                              放送開始まであと1日!
                              葵せきな先生書き下ろしTwitter連載小説
                              景太が花憐達と出会う前、どんな想いで過ごしていたのか…
                              本日と明日で前日譚をお届け!
                              第22回【雨野景太とプリクエル―前編―】
                              ゲスト挿絵イラスト「かまぼこRED」さん
                              「はぁ……」
                              一人きりの休み時間。居心地の悪い教室の窓から外の景色を眺めてため息を吐く。
                              音吹高校に入学してから一ヶ月。僕、雨野景太に友人は一人もいなかった。
                              何かをやらかしたわけじゃない。むしろ、何もしなかった結果が、これだ。
                              クラスメイト達が仲良しグループを作って雑談に興じる中、僕は一人スマホをいじる。すると、別に盗み聴くつもりはなくとも、彼らの会話が耳に入ってきた。
                              「やっべぇな、あの金髪の女子! オーラぱねぇわ!」
                              「だよな!」
                              可愛い女子がどうとかという、自分とは本当に無関係の世界の会話。
                              と、金髪女子に関する会話がそれほど盛り上がらなかったのか、彼らがちらりと僕の方に視線を送ってきた。
                              ……いやな流れだ。僕は席を立つと、トイレに向かうことにした。
                              道中、他の教室内が視界に入ってくる。中でも特に印象的だったのが、髪を鳥○明の漫画よろしくツンツン立てた男子が中心になって「う、うぇーい?」と騒いでいたクラスだった。……世の中、不思議な人もいるものである。
                              引き続きトイレへと続く廊下を歩いていると、正面から海藻髪の女生徒が歩いてきた。
                              このままだとぶつかるので僕は右に避けるも、彼女も同じタイミングで同じ方向に避けてしまう。何度か同じことを繰り返すも、その都度、同じ方向に避ける僕ら。
                              『す、すいませんっ』
                              果てには謝罪の言葉まで被る。また互いに臆病なせいか、俯き加減で相手の顔もろくすっぽ見ずに対応しているため、余計に状況が解決しない。
                              結局、たっぷり一分はかけて僕らはようやくすれ違えたのだった。
                              トイレの前まで来たところで、今度は黒髪おさげの女子生徒が、大量の本を抱えて歩いている現場に出くわした。
                              ラノベ主人公なら颯爽と手を貸す場面だが、生憎僕は気弱なモブキャラだ。
                              迷っている内に、他の友達が駆けつけてきてしまった。
                              「あぐりちゃん、手伝うよー」
                              「ありがとう、山内さん」
                              「ところで、どしたのそれ? 全部……女性誌?」
                              「図書室から借りてきたんだ」
                              「……なんか古くない?」
                              「いいの」
                              そんなやりとりを交わしながら去って行く二人。
                              「(どうして僕は、人助けにさえ、足がすくむんだろう……)」
                              手を貸したいとはすぐ思うのに、次の瞬間には「僕なんかが話しかけたら迷惑かも」という発想が湧いてきてしまう。
                              居場所のない高校生活が、僕から奪ったものは大きかった。


                              IP属地:江苏93楼2017-07-12 18:48
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