ドイツの食事というと、ソーセージとジャガイモくらいしか思い浮かばないのは当方の発想の貧しさであろう。それはさておき、ソーセージを使った慣用句はドイツ語に多いようだ。在日ドイツ大使館がウェブサイトで紹介している▼「それはソーセージだよ」との言い回しがあり「そんなことどうでもいい」の意味だという。あまりにありふれているからだろうが、大事な食べ物でもある。「ソーセージが問題だ」と言えば「今が正念場だ」「重要だ」となる▼そのドイツで、外食ではソーセージも食べられなくなるというから、たしかに正念場だ。新型コロナの感染拡大を食い止めようと、1カ月間、持ち帰りをのぞいて全ての飲食店を閉鎖するという▼ドイツに限らず欧州はいま、感染第2波の中にある。夏季休暇シーズンに移動制限を緩めたことが響いたか。フランスは全土に外出禁止令を出し、イタリアも飲食店の営業を制限した。感染を抑えた上でクリスマスを迎えたいようだが、思惑通りにいくかどうか▼それにしても彼我のこの差はどう考えたらいいのだろう。日本はGoToトラベルやイートの真っ最中である。東アジアで被害が比較的小さい理由は生活習慣説から遺伝子説まで色々言われるが、証明されてはいない。油断はできない▼欧州のレストランには屋外のテラス席がよくあり、気分も換気もよさそうだ。今は肌寒い季節を迎え、使いにくくなっているか。事態が他より少し早く進んでいるだけかもしれない。