杉田智和吧 关注:32,796贴子:299,637

【131116情报】追寻「月英学园 -kou-」的原点 访谈

只看楼主收藏回复

声优にしてクリエイター・杉田智和の原点を辿る「月英学园 -kou-」インタビュー。杉田氏と森Pが解き明かす,その原风景と世界観




1楼2013-11-20 13:47回复
    2013年10月10日,PlayStation Vita用アドベンチャーゲーム「月英学园 -kou-」が,アークシステムワークスより発売された。
     本作は,声优の杉田智和氏と御立 弾氏が原作を手がけたPC向け同人アドベンチャーゲーム「月英学园 -ergØ-」をベースに,新キャラクターの追加やボイスの追加,シナリオの再构筑が行われた,コンシューマ向けリメイクタイトルだ。
     同人版からのスタッフである脚本の熊川秋人氏,音楽の伊藤贤治氏,イラストの哉ヰ 凉氏に,根岸和哉氏や企画屋(シナリオライター集団)といったメンバーが加わった豪华な制作阵。そして杉田智和氏の希望が反映された豪华なキャスティングなどで,注目を集めるタイトルだ。
     今回4Gamerでは,その発売を记念して,本作の原作者である杉田智和氏と,プロデューサーの森 利道氏に话を闻いてみた。本稿では,その中で确认できた,本作の开発経纬や,作品の裏に隠されたテーマ,そしてクリエイター・杉田智和氏がストーリーに込める想いなどを余すことなくお届けしていこう。
    ※记事中,一部本编についてのネタバレとなる部分があります。ご注意ください。


    2楼2013-11-20 13:48
    回复
      ■「月英学园 -kou-」の物语
       月英学园への転校初日の夜,异形の存在に袭われた远山浩は,何故かその场を访れた月英学园生徒会の少女・御月英理によって杀害されてしまう。しかし浩は,死んだ记忆を引き継ぎながら目を覚まし,2度目の“転校初日”を経験するというタイムリープ现象に遭遇。自身の置かれた状况に困惑し,自分を杀害した御月英理が所属する生徒会に接触を试みる。


      3楼2013-11-20 13:50
      回复
        そこで浩は,桃生町には袭った人间を怪物に変える力を持った异形「ハザード」の存在すること,ハザードが学园の地下に隠された“匣”を狙っていること,そして生徒会が“匣”と桃生町の人々を守るためにハザードと戦う组织であることなど,多くの真実を知らされる。同时に生徒会へとスカウトを受けた浩は,自身に起きた谜の全貌を知るために,ハザードとの戦いに身を投じることになった。
         月英学园の生徒会は,ハザードに対抗する“能力”を受け継ぐ9つの家「九头龙」に属する人间によって构成されている。浩は九头龙の人间ではないにも関わらず,ハザードと相対したことをきっかけに能力を発现させており,特异な存在として见られていた。
         そのため,当初は互いに疑いの目を向け合い,生徒会の中に驯染めずにいたが,共に様々なハザードとの死闘をくぐり抜ける中で,少しずつ友情や爱情が芽生え始める。そうして仲间たちとの交流を通して信頼を胜ち取った浩は,生徒会や九头龙の裏に隠された谜へと迫っていく……。


        4楼2013-11-20 13:51
        回复
          原作:杉田智和――多くの人の手を介して生まれ変わった「月英学园」
          4Gamer:
           今回は,原作者である杉田さんと,プロデューサーである森さんのお二方に,本作の魅力について语っていただこうと思います。しかしこの面子だと,インタビューと言うより,対谈になってしまうかもしれませんね。
          森 利道氏(以下,森氏):
           俺と杉田くんが対谈ですって! なんだか嫌な予感しかしないぞ(笑)。
          杉田智和氏(以下,杉田氏):
           某スタン・ハンセンのテーマ曲(「Sunrise」)をかけながら入场して,花束で相手を殴る所から话を始めましょうか。
          4Gamer:
           脱线しそうになったら无理やり引き戻しますので,よろしくお愿いします(笑)。ではまず,本作の成り立ちからなんですが……元々は同人ゲームだったんですよね?
          杉田氏:
           そうです。同人ゲームの「月英学园 -ergØ-」は,仆の友人でもある熊川秋人さん※を,世の中に适合させるために生まれたプロジェクト,のようなものなんです。彼が「自分はゲームが作れる。でも絵と曲だけはどうにもならない」って言っていたので,「じゃあやってみろ」ってことでスタートしました。
          ※熊川秋人氏…… 香川県出身のシナリオライター。「月英学园 -kou-」では,同人版から引き続きメインライターを担当。そのほかアークシステムワークス作品では「BLAZBLUE CONTINUUM SHIFT EXTEND」の追加シナリオのライティングなども行っている。以前は,「熊川贵族」の名义でアダルトゲームメーカーのアージュに所属し,シナリオなどを担当していた。また,4Gamerの动画企画「4Gamer TV~突然!ブッピGAN!~」第1回と第2回にも出演している。
          4Gamer:
           熊川さんは,本作ではシナリオにクレジットされていますね。杉田さんは,原作者という立场でスタッフリストに名を连ねていますが,具体的にはどこまで制作に関わられたのでしょうか。


          5楼2013-11-20 13:51
          回复
            现场を知るがゆえの,キャスティングへのこだわり
            4Gamer:
             では,ここからは少し内容に踏み込んだ质问をさせてください。
             谜に満ちたストーリーや,伊藤贤治氏によるサウンドなど,さまざまな魅力が诘め込まれた本作ですが,やはり初见で目を惹くのは,个性豊かなキャラクターではないかと思います。そして,そのキャラクターに命を吹き込むキャスト阵の豪华さに惊かされるのですが……このキャスティングは,杉田さんのチョイスということで良いのでしょうか。
            杉田氏:
             仆が担当したのは,あくまでキャスティングの“希望”までですが。でも,结果的にほぼ希望通りのキャスティングが実现してしまったので,そういう意味ではその通りです。
            4Gamer:
             ということは,杉田さんのこだわりがかなり反映されていると。杉田さんが,本作の音响监督といってもいいのでしょうか?
            杉田氏:
             音响监督の仕事は熊川さんが担当したのですが,仆もアフレコ现场には极力立ち会うようにしていました。ただ,仆も熊川さんも本业の音响监督ではないですから,あくまで原作者・シナリオ担当として,キャラクターの方向性を见失わないよう,アドバイスするといった感じです。
            4Gamer:
             なるほど。キャスティング面でのこだわりなどをお闻きしてもいいでしょうか。
            杉田氏:
             キャスティングでは,英理役の早见沙织さんと,大河役の中村悠一さんは,とくに强く推した配役です。この2人は仆のラジオ番组等で强くキャラクターのイメージが出来ていたので,キャスティングを担当した弊社アトミックモンキー※の森永さんに强く念押しした记忆があります。
            ※アトミックモンキー……杉田氏の所属する声优事务所。所属声优に関 智一,长沢美树,折笠富美子など。


            8楼2013-11-20 13:53
            回复
              森氏:
               仆はやっぱり,上手な声优さんには悪役をやってほしいと思ってるんですよ。例えば映画のバットマンとかでも,悪役には必ず良い役者さんが当てられますよね。ああいうのが大好きなんです。「BLAZBLUE」シリーズで,ハザマ役に中村さんをキャスティングしたのも,実はそういう理由で。
              4Gamer:
               本作で中村さんの演じられた大河は,序盘でこそ主人公を导いていく人格者,という立ち位置ですが,物语が进むにつれて徐々にその本性を现してくるという,难しいキャラクターでもありますね。
              杉田氏:
               そう。どうしても中村さんにお愿いしたかったのは,その本性を现した大河――仆等は“黒大河”と呼んでいるんですが――があってのことなんです。一度あの声の黒大河を闻いてしまうと,もうほかのキャスティングは考えられない。
              4Gamer:
               中村さんをゲストに招いたラジオ※の1コーナーで,中村さんが大河を演じられたのが决め手だったと。
              ※文化放送 超!A&G+のラジオ番组「杉田智和のアニゲラ!ディドゥーーン!!」。
              杉田氏:
               ええ。彼の演技は,なんと言いますか……スポーツドリンクよりも速いスピードで,仆の感性に染みこんで来るんです。常に孤独で,危うい印象があって,中村さんの声は,まさにそんな大河のイメージにピッタリでした。


              9楼2013-11-20 13:53
              回复
                森氏:
                 そういえば中村さん,「俺の収录の时には(杉田さんが)1回も来なかったぞ」って言ってたよ(笑)。
                杉田氏:
                 どうしてもスケジュールが被っていて……行けませんでした……。本当は行きたかったんですよ!
                4Gamer:
                 杉田さんの中村さんへの爱が伝わってくるエピソードですね。ちなみに,ほかのキャラクターについてはいかがでしょうか。
                杉田氏:
                 特定のキャラクターの话ではないのですが,収录现场では,とにかく「キャラクター性を被らせないこと」を意识していたのを覚えています。
                4Gamer:
                 というと?
                杉田氏:
                 自分が演者であるときの経験からなのですが,原作者の意向が浓く出ている作品だと,登场キャラクターの趣向が偏りがちで,演技が似通ってしまうことが多いんです。せっかく良いキャスト阵が揃っているのに,演技が似てしまってはもったいない。なのでそうならないよう,キャラクターを分けるように意识するんです。
                4Gamer:
                 おお。もう少し详しくお闻きして良いでしょうか。
                杉田氏:
                 例えば,作品の中に「落ち着いた女の子」「おとなしい女の子」「クールな女の子」という3人のキャラクターがいたとしますね。この3人は性格は违えど,演者が出す声质という意味では,似た方向性を持っています。1歩间违えば全员が似通った声を作ってしまうでしょう?
                4Gamer:
                 (早见さんの声で妄想しつつ)……た,确かに。
                杉田氏:
                 「月英学园」で言えば,麻生 明は「クールな美女」で,久远院朱音は「ミステリアスな女性」,英理は「不器用な女の子」ですよね。この3人は,まるで违うキャラクターではありますが,ある程度「落ち着いた女の子」という枠の中では,同じ方向を向いています。なので,最初に何がどう违うのかを说明しておくことが,非常に重要なんです。


                10楼2013-11-20 13:53
                回复
                  4Gamer:
                   うーん,なるほど。
                  杉田氏:
                   沢城みゆきさんが演じている瀬川まりあは,“性格が悪い”という个性を强调するために,当初はもっと丑悪なキャラクターにしようかと思っていたくらいです。
                  4Gamer:
                   ええっ。まりあ,すごくエ……カワイイじゃないですか!
                  杉田氏:
                   でしょう? あれは熊川さんの「言うても,まりあにも良いとこあるやん?」という说得と,イラストレイターのすめらぎ琥珀先生の优しさ,そして根岸先生のシナリオの赐物です。絵の力に頼らずに「嫌なヤツでありながらも,爱される可爱いキャラ」というキャラクターを确立してくれたので。
                  4Gamer:
                   そこに沢城さんのボイスが付くことで,今のまりあになったわけですね。
                  杉田氏:
                   ええ。本来,一人の演者が「かっこいい」と「かわいい」という枠の中で用意できる选択肢って,実はあまり多くないんですよ。各ジャンルの枠内で,多くて2种类ぐらいが限度だと思います。


                  11楼2013-11-20 13:54
                  回复
                    キャラクターに込められたさまざまな思惑
                    4Gamer:
                     これは単纯に疑问なのですが,杉田さんご自身は,执事というキャラクターの声を担当されていますよね。普通に考えれば,主人公である远山 浩を杉田さんが演じるのが自然なようにも思うのですが,なぜそうしなかったのでしょうか。
                    杉田氏:
                     これを说明するとネタバレになってしまうのですが,仆が浩を演じてしまったら,浩が执事と出会ったときに……声でバレちゃうじゃないですか。
                    4Gamer:
                     あー……なるほど。あくまで别の存在ということなんですね。
                    杉田氏:
                     そうです。英理と朱音に别のキャストを当てているのも,ほぼ同じ理由からですね。
                    4Gamer:
                     そういえば,执行 律が浩のことを「兄様と似ている」ってしきりに言っていましたね。それも,何かあるわけですか。
                    杉田氏:
                     ええ。执事と执行 莲,その両方のデータベースを参照して生まれたのが,远山 浩という人间なんです。
                    森氏:
                     杉田くんが考えるキャラクターは,「そこまで说明しなくていいから!」という部分まで设定が作り込まれていて,バックボーンが复雑すぎるくらい复雑なんですよ(笑)。
                    杉田氏:
                     主人公として浩が设定されたことで,いろいろと変化した部分は大きいですね。律はVita版から登场したキャラクターですが,元々は中等部のキャラクターとして,雄喜(英理の弟)と同级生になる予定でした。
                    4Gamer:
                     ああ,それで高校2年生にしては幼い外见なんですね。
                    杉田氏:
                     メインヒロインの英理が「伟そうな后辈」というキャラ付けだったので,浩がクラスで孤立しないためにも,律が必要だったんです。同様の理由で,田中(CV:安元洋贵)や佐藤(CV:阪口大助),兼城いずみ(CV:丹下桜)もクラスメイトになりました。彼らもちゃんと名前がつき,声が吹き込まれたことで,爱着が沸くキャラクターになってくれましたね。


                    本楼含有高级字体12楼2013-11-20 13:54
                    回复
                      4Gamer:
                       うーん,なるほど。しかし返す返す,豪华なキャスト阵ですよね(笑)。月英学园そのものからは少しズレるのですが,声优さんのインタビューなどで,アニメなどの现场に比べて,ゲームのアフレコは难しいという话を闻く事があります。実际のところ,どうなのでしょうか。
                      杉田氏:
                       それぞれ,まったく别物ですね。アニメのアフレコは,挂け合いをしながら动画に合わせて収录しますが,ゲームの场合は基本的に别录りです。さらにテレビアニメは毎周放送される物なので,制作进行の流れが根本的にゲームとは异なります。
                      森氏:
                       アニメの场合,目の前にある映像に対して声を当てるので,ある程度は絵が想像できるじゃないですか。でもゲームには,ほとんどの场合それがありません。なので,基本的に口头での说明と资料だけで,役者さんにキャラクターをイメージしてもらうことになるんですよ。だから,どうしても最初の微调整が难しくなります。
                      4Gamer:
                       そう闻くと,确かにゲームの方が难しそうですね。
                      森氏:
                       想像で补ってもらう部分が大きいので,そういった意味ではアニメよりゲームのほうが,収录は大変かもしれません。
                      杉田氏:
                       アニメにはアニメの难しさがあるので,一概には言えませんけどね。でも,今回のキャストを,ある程度面识のある人で固めたのには,そうしたイメージを伝えやすくするためという侧面もあるんです。
                      森氏:
                       そうそう。気心が知れた相手だと,意思疎通が図りやすいんだよね。アニメでも,监督が同じだと,作品は违えど起用するキャストが似通ることが多いじゃないですか。あれも同じ理由です。もちろん,新しいキャストにチャンスを用意するのも,また重要なんですけど。
                      杉田氏:
                       関系の深さに甘えてばかりでは良くないので。月英学园で言えば,若手の起用で栄斗 圭役の山口立花子さんがいますし,久远院倭人役の伊智生士冶さんは,主に舞台の方面で活跃されている役者さんで,仆は今回が初颜合わせでした。
                      4Gamer:
                       それも,杉田さんがキャスティングを?
                      杉田氏:
                       ええ。久远院倭人は老人の役で,同じ立场にいる市能瀬涯(CV:银河万丈)とバランスが取れるような役者さんでなければならなかった。そこで,「戦国大戦」で渋い役を色々演じている,伊智生士冶さんに白羽の矢を立てました。でも実际に会ってみると,想像以上にお若い方で……。
                      4Gamer:
                       ええっ,お若い方なんですか?
                      杉田氏:
                       ええ。仆もとても惊きました。あと朝仓役の山本匠马さんも,普段は俳优としての露出が多い方です。朝仓というキャラクターは,桃生町の中では异质な存在じゃないですか。その朝仓を,声优が本业でない方が演じることによって,その异质さがより际立ったと思っています。


                      13楼2013-11-20 13:55
                      回复
                        4Gamer:
                         お闻きしていると,キャスティングはとてもスムーズに决まったようですが,配役で悩んだキャラクターはなかったのですか?
                        杉田氏:
                         キャスティングで揉めたのは……御月雄喜役くらいですね。彼は大河や英理の弟で,中学2年生なんですが,女性の声优さんにするか,男性の声优さんにするかで,少し迷いました。结局は,上がってきたイラストがかなりタフな见た目だったので,后者になったんですけど。
                        4Gamer:
                         雄喜は,痩せると男前になりそうですよね(笑)。
                        杉田氏:
                         自分のやりたいことのために,自ら引きこもり生活を选んでいるという,凄く意思の强いキャラクターですから。その「意思の强さ」を表现できて,英理役の早见さんよりも年下の役者さんということで,石川界人さんに担当してもらいました。
                        4Gamer:
                         なるほど。
                        杉田氏:
                         そうそう。特定の役というわけではないですが,ガヤやモブの声も,ちゃんと选んでキャスティングしています。しっかりサンプルを聴いて,森永さんと话し合いながら决めていきました。
                        4Gamer:
                         えっ。ガヤやモブって,主演の方达が兼役で录ったり,あるいは事务所の若手の方が担当するものだと思っていたのですが……违うのですか?
                        杉田氏:
                         いや,実际はそういうことが多いと思います。でも,仆はここが作品のクオリティを大きく左右すると思っているんです。それを単に事务所のつながりや,使いやすいかどうかで决めてしまっては,役者さんに失礼じゃないですか。ただ,その収录にはスケジュールが合わなくて参加できなくて……それが今でも少し残念です。


                        14楼2013-11-20 13:55
                        回复
                          クリエイター・杉田智和氏の原点――复雑に入り组んだ世界の裏侧
                          4Gamer:
                           ここからは,原作者――クリエイターとしての杉田さんに迫っていこうと思うのですが……まず,そもそも月英学园の物语,世界観というのは,杉田さんのどこから生まれてきたのでしょうか。
                          杉田氏:
                           月英学园の世界は,仆の中にある「自分の感性に影响を与えた物や出来事を,他人に伝えたい」という意思から生まれたものです。また,それらの出来事を忘れないよう,まとめて保存しておくメモのような意味合いもありました。
                          森氏:
                           これは仆の兴味から杉田くん闻いてみたいことなんだけど,いいかな。
                          杉田氏:
                           はい。
                          森氏:
                           月英学园の舞台って“田舎の町”(桃生町)という闭锁的な空间の中にある“学校”(月英学园)だよね。つまり,桃生町という闭锁的な空间の中に,学校というさらに闭锁的な空间が入れ子になっているわけだ。どうしてそういう设定にしたの?
                          杉田氏:
                           それは単纯に,あの舞台设定が仆の原体験に由来しているからです。仆自身が田舎の村で育った人间なので,桃生町という舞台には仆が育った村が投影されてる……と思います。


                          15楼2013-11-20 13:55
                          回复
                            森氏:
                             ああ,やっぱり杉田くんの原风景なんだ。でも普通はさ,闭锁的な空间の内侧に置かれた组织って,“外”に向かう意思や力を持つものだと思うんだ。でも月英学园では,その学校すらも内侧に向かっているよね。
                            杉田氏:
                             田舎の世界って,そういう物なんですよ。仆が育った田舎の人间达って,绝対に“外”に喧哗を売ったりしません。内轮の中で争って,「お山の大将」を目指す世界なんです。だから,仆が月英学园で描きたかったのは,仆が过去に体験してきた“理不尽”への抵抗です。
                            4Gamer:
                             理不尽というと?
                            杉田氏:
                             学生の顷って,ほら,コミュニティにランクがあるじゃないですか。いつもはやりの音楽を聴いて,谁が谁を好き,という话题で盛り上がっているような奴らが一番上で,その轮に入れなかった奴らが,また别のコミュニティを作っていくような。当时の仆は,そのメインストリームのコミュニティに入れなかったんです。
                            4Gamer:
                             いわゆるスクールカースト的な。自分も体験して来たので,よく分かります(笑)。
                            杉田氏:
                             メインストリームの人间から「お前なんかあっちに行ってろよ」と言われた人间达が作ったコミュニティで,仆は彼らの言う“あっち”を楽しんでいたんだけど,そうしたら,俺を追い出した奴らから,「そんな面白い场所があったのに,なんで言わなかったんだ!」って言われて。そんなもの,こっちからすれば「知ったことか!」じゃないですか。まぁ,単に仆がひねくれ者だっただけなのかもしれませんが。
                            森氏:
                             もしかして……杉田くんは自分がひねくれ者じゃないとでも思ってたのか(笑)。
                            杉田氏:
                             そうならざるを得ない状况だっただけです! 仆だって,サッカーやバスケットボールを嗜みながら,修学旅行は好きな女の子の话题で盛り上がりたい时もありました。でも现実では,仆は一切の球技がダメで,テニス部の中でもずっとアニメとゲームの话をして,修学旅行は京都のゲーセンで格ゲーを游ぶという状况でした。
                            4Gamer:
                             それはそれで,ちょっと楽しそうですけど(笑)。オタク同盟というか,マイノリティの中で生まれた绊は,より强くなるものですし。
                            森氏:
                             ああ,それはよく分かる(笑)。
                            杉田氏:
                             ええ。その中で生まれた绊は,どれも本物なんです。その当时に仲が良かった连中とは,今でも亲交があるくらいですから。
                            4Gamer:
                             ええと,ちょっと话を戻しますと,つまりそういう闭锁的な社会からの脱出を描きたかった?
                            杉田氏:
                             はい。特典のドラマCDに,少年时代の后堂の「多くの人间は,不条理を饮みやすい形にして饮み込んでいる。大河なんてのはとくにそうだ。だが,俺は纳得がいかねえ!」というセリフがあるんですが,ここに仆がこの作品で言いたいことがすべて诘まっています。
                            森氏:
                             杉田くんのラジオに出た时にも言ったんだけど,仆は「月英学园」のテーマは“虚像”だと思っているんですよ。作中では「镜に映っている物が真実なのか否か」という,目に映っている出来事と,自分の信じていることの差异が,大きくクローズアップされているので。
                            4Gamer:
                             なぜ学园でなければならないのか,というのは,自分もプレイしていて感じた疑问ではあります。まるでネルフに连れてこられたシンジ君のような状态にもかかわらず,何故,主人公达はその中で学园生活を送っていられるのだろうって。学园の中での出来事は,まるで胡蝶の梦のようで……その违和感は,恐らく意図的なものですよね。
                            杉田氏:
                             そうです。桃生町は歪んでしまった人工の世界なので,ある程度の矛盾や绽びが必要なんです。そもそも,あんな小さな村に学园があること自体,不自然じゃないですか。それに,谁もが幸せな空间だったら,メインフレームからルル様がやって来る理由もない。だから,桃生町はスキだらけで,违和感の块でなければならない。


                            16楼2013-11-20 13:56
                            回复
                              森氏:
                               前のインタビューで,仆は杉田くんの书くストーリーを“ヒネた中二”と表现したんだけど,この「世の中を,ちょっと违う角度から见ようとする」ところが,杉田くんの根っこなんだと思うんですよ。目に映っているものをそのまま信じずに,常に违う场所から観察しようとする。杉田くんのプロットを読んでいると,よくそう感じます。
                              4Gamer:
                               なるほど,それで“ヒネた”中二病だと。
                              杉田氏:
                               中二病って,思春期に起こる感性の成长を外から见た姿だと思うんです。あの时期の子供って,あらゆる物に兴味を持って手を伸ばすじゃないですか。それがあまりに无节操すぎて,时には自分を见失ってしまったり,その姿が滑稽に见えたりする。
                              森氏:
                               そうだね。
                              杉田氏:
                               だからこそ,あの时期にインプットされたものってすごく大事だと思うんです。色んなものをごった煮したカレーのようなもので,中二病を経験した人は,みんな“自分味のカレー”を持っています。それが美味しいかどうかは,放り込んだ具材と,调理方法次第といいますか。
                              4Gamer:
                               杉田さんの锅では,田舎の村の风景とスクールカースト,そしてアニメと格ゲーが煮込まれていたわけですね。
                              杉田氏:
                               ええ。物心ついた顷の杉田少年は,决められた未来をなぞらされるような田舎の确执が嫌で嫌でたまらなかった。だから声优雑志のオーディションに応募して,新転地を求めたんです。この体験が,月英学园の世界観と,ストーリーの构筑に大きく関わっていると思います。
                              4Gamer:
                               それが,クリエイター・杉田智和の原点だと。
                              杉田氏:
                               声优とクリエイターって,まったく违うものに见えるかもしれませんが,一つの世界観を作り上げる役割と言う意味では,どこか似た存在なんですよ。もちろん声优の场合は,自分が入る器(キャラクター)がなければ自分を表现できませんし,だからこそ,仆はいちからものを作り上げるクリエイターさんのことを,すごく尊敬してるのですが。
                               今回,クリエイターの立场に立たせていただいたことで,それがよく分かりました。この経験は,声优としての自分にとっても,恐らくなにかのヒントになってくれるじゃないかと思っています。


                              17楼2013-11-20 13:56
                              回复