木の進化?
「な、何よ、これ……」
慌てて飛び込んできた兵士さんに連れられ、宮殿の庭に移動した俺たちだが、その目の前の光景に思わず目を見開いた。
それは――――。
「こんな……こんな巨大な木、生えてなかったでしょ!?」
そう、突然この宮殿の半分を覆ってしまうような、巨大な樹木が庭に生えていたのだ。
昨日まではこんな木、生えてなかったし、どこから生えてきたんだ?
……もしかして、俺が封魔の森に使用した魔法の効果がここまで及んでしまったとか?
いろいろと不安なことが頭をよぎるが、どうもそんな理由じゃない気がする。
しかも、何だか嫌な予感が――――。
『おや、誠一様。それに皆さんもお揃いで』
「「「……」」」
突然、目の前の巨木から目や口が出現し、俺たちは声をかけられた。
嫌な予感はしていた。していたけど……!
「お前かよ!?」
『? おかしなことを聞きますね。どう見ても私じゃないですか。木です』
「木なのは見れば分かるよ!?」
俺が言いたいのはただの木じゃなくてあのしゃべる木……ってクソややこしいな!
俺が思わず目の前の巨木相手に突っ込んでいる中、アメリアたちは呆然としており、ヘレンに至っては諦めのようなため息を吐いていた。
「はあ……まあ誠一先生だしね。この大きな木の知り合いがいてもおかしくないわよね……」
「誤解です! 俺がこの木をしゃべれるようにしたわけじゃないからね!? もともとはアメリアの力が原因なんだからな!?」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 確かに私は貴方を見張らせるために木に命を吹き込んだけど、こんなに大きくなかったでしょ!? それに、とうに役目を終えたんだからその命も消えているはずよ! なんでこんなことに!?」
アメリアにとってさえ、完全に予測できていなかった事態らしく、混乱している。
「……スイン。私はもうついていけない」
「リエル、私もだから安心して。どう考えてもアメリア様っていうより、誠一殿の影響が大きいと思うし……」
何やらリエルさんたちもこの状況に現実逃避を始めているが……正気に返ってください。俺も現実逃避したいんです。
何がどうしてこんな大きな木になったのか全く分からないでいると、目の前の巨木は呆れた様子で口を開く。
『何をそんなに困惑しているのかと思いきや……私の姿が違うことに困惑していたのですか? 酷いですね! ちょっと大きくなっただけなのに、私が分からないなんて……誠一様と私の絆はその程度だったのですか!?』
「ちょっとどころじゃないし、お前との絆ってなんだよ!?」
俺の中では散々コイツに振り回された記憶しかないんだが。
「いや、そんなことはどうでもよくて……」
『どうでもいい!?』
「お前、なんでそんなに大きくなってるの?」
巨木の反応を無視しつつ、俺は素直に本題に入る。
今までの木は、普通にしゃべってる感じだったのに、大きくなったことで声もどこか厚みが増し、何だか脳に直接語り掛けてきているようにも感じる。本当に何があったんだ?
『ふむ……何故大きくなったのかと言われれば……正直、私にも分かりません』
「は?」
『今朝、この庭にちょっと根を下ろそうとしたらこうなりまして……』
「待って、コイツ、この城の庭に居座る気だったわけ?」
『木だけに、【居座る木】……なんて』
「コイツ燃やしていいかしら?」
いいとは思うが、ちょっと落ち着いてほしい。
「いや、お前の意思でその姿になったわけじゃないのは分かったが、何か思い当たる原因は本当にないのか?」
『そうですね……考えられることといえば、私がこの庭に根を下ろそうと思ったのも、元々私に与えられていた役割を終えたからで、元の木に戻ろうとしていたわけですが……おそらく、誠一様としばらく行動したことで、誠一様の非常識が少し伝染したのかと』
「非常識の伝染って何!?」
「なるほど……誠一が原因ってわけね」
「やっぱり」
「誠一殿のせいなら……」
「納得したね」
「泣いていい?」
なんで俺のせいになったのかも分からないし、それで納得されちゃうのもどうなの? こんなに普通なのに。
「な、何よ、これ……」
慌てて飛び込んできた兵士さんに連れられ、宮殿の庭に移動した俺たちだが、その目の前の光景に思わず目を見開いた。
それは――――。
「こんな……こんな巨大な木、生えてなかったでしょ!?」
そう、突然この宮殿の半分を覆ってしまうような、巨大な樹木が庭に生えていたのだ。
昨日まではこんな木、生えてなかったし、どこから生えてきたんだ?
……もしかして、俺が封魔の森に使用した魔法の効果がここまで及んでしまったとか?
いろいろと不安なことが頭をよぎるが、どうもそんな理由じゃない気がする。
しかも、何だか嫌な予感が――――。
『おや、誠一様。それに皆さんもお揃いで』
「「「……」」」
突然、目の前の巨木から目や口が出現し、俺たちは声をかけられた。
嫌な予感はしていた。していたけど……!
「お前かよ!?」
『? おかしなことを聞きますね。どう見ても私じゃないですか。木です』
「木なのは見れば分かるよ!?」
俺が言いたいのはただの木じゃなくてあのしゃべる木……ってクソややこしいな!
俺が思わず目の前の巨木相手に突っ込んでいる中、アメリアたちは呆然としており、ヘレンに至っては諦めのようなため息を吐いていた。
「はあ……まあ誠一先生だしね。この大きな木の知り合いがいてもおかしくないわよね……」
「誤解です! 俺がこの木をしゃべれるようにしたわけじゃないからね!? もともとはアメリアの力が原因なんだからな!?」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 確かに私は貴方を見張らせるために木に命を吹き込んだけど、こんなに大きくなかったでしょ!? それに、とうに役目を終えたんだからその命も消えているはずよ! なんでこんなことに!?」
アメリアにとってさえ、完全に予測できていなかった事態らしく、混乱している。
「……スイン。私はもうついていけない」
「リエル、私もだから安心して。どう考えてもアメリア様っていうより、誠一殿の影響が大きいと思うし……」
何やらリエルさんたちもこの状況に現実逃避を始めているが……正気に返ってください。俺も現実逃避したいんです。
何がどうしてこんな大きな木になったのか全く分からないでいると、目の前の巨木は呆れた様子で口を開く。
『何をそんなに困惑しているのかと思いきや……私の姿が違うことに困惑していたのですか? 酷いですね! ちょっと大きくなっただけなのに、私が分からないなんて……誠一様と私の絆はその程度だったのですか!?』
「ちょっとどころじゃないし、お前との絆ってなんだよ!?」
俺の中では散々コイツに振り回された記憶しかないんだが。
「いや、そんなことはどうでもよくて……」
『どうでもいい!?』
「お前、なんでそんなに大きくなってるの?」
巨木の反応を無視しつつ、俺は素直に本題に入る。
今までの木は、普通にしゃべってる感じだったのに、大きくなったことで声もどこか厚みが増し、何だか脳に直接語り掛けてきているようにも感じる。本当に何があったんだ?
『ふむ……何故大きくなったのかと言われれば……正直、私にも分かりません』
「は?」
『今朝、この庭にちょっと根を下ろそうとしたらこうなりまして……』
「待って、コイツ、この城の庭に居座る気だったわけ?」
『木だけに、【居座る木】……なんて』
「コイツ燃やしていいかしら?」
いいとは思うが、ちょっと落ち着いてほしい。
「いや、お前の意思でその姿になったわけじゃないのは分かったが、何か思い当たる原因は本当にないのか?」
『そうですね……考えられることといえば、私がこの庭に根を下ろそうと思ったのも、元々私に与えられていた役割を終えたからで、元の木に戻ろうとしていたわけですが……おそらく、誠一様としばらく行動したことで、誠一様の非常識が少し伝染したのかと』
「非常識の伝染って何!?」
「なるほど……誠一が原因ってわけね」
「やっぱり」
「誠一殿のせいなら……」
「納得したね」
「泣いていい?」
なんで俺のせいになったのかも分からないし、それで納得されちゃうのもどうなの? こんなに普通なのに。